Bluetooth電波を遮蔽する

<突然のトラブル>

買って2ケ月になるCDプレーヤーで音楽を聴いてまったりしていたら、突然DJらしい元気のいい声が部屋中に響きわたりました。 FM局かどこかの音楽番組だったのでしょう。 音量を手動で下げたあとで表示パネルを見たらなんとBluetoothの表示が!ペアリングしてないのに近隣のスマホの電波を受信してしまいました。

メーカーに問い合わせたら、Bluetooth機能をオフにはできないとのこと。 「いかにも現代的なトラブルですね」とのんきなことを言っている。 窓際から遠ざければいいと言われましたが癪です。 もうひとつ、アルミホイルで覆うというアイデアも提示されましたが不便ですし不格好です。厚さ10μm程度で遮蔽できるか心配でもあります。

電波の侵入口は写真下のペアリング用窓(プラスチック製)でしょう。一辺は6cmで、2.45 GHzの電波のおよそ半波長になります。 また、筐体そのものは金属製ですが、表面は塗料が塗ってあるので絶縁体です。

<電波の遮蔽>

私の対応策は、写真上のようにペアリング用窓に銅板を被せるというものです。たまたま13cm×17cmで厚さ0.2mmのものがあったので。 そして、銅線を介して筐体につなげました。いわゆるアースを取るってやつです。将来自分でBluetoothを使うことになれば、この板をはずせばいいのです。

<アースを取ること>

元々の意味は、文字通り大地との間を電気的につなぐことですが、2本のプラグを使っている日本では死語になっています(欧米なんかでは3本のうち一本がアース線です)。 実際、このプレーヤーも、筐体と電源プラグの間に電気的接続はありません。アースを取ることによって筐体と銅板が導体として電気的に一体化できます。 導体の内側に電場はできないので電波が遮断できます。

<アースを取らなければ>

銅板は筐体とは独立した導体になるので「浮いた状態」になって浮遊容量が発生します。 銅板の裏側にも振動電場が生じて、筐体内部に電波が染み込んでいく可能性があります。

<金属ホイルには要注意>

マイクロ波が表皮深さ(skin depth)δ=1/√πfσμ のところまで侵入します(厳密にいうと電場振幅が40%に落ちる)。f=2.45GHzであればAlでδ=3μm、Cuで2μmです (S.Ramoら,"Fields and Waves in Communication Electronics" (Wiley, 1965) p.252)。

2-19-2019, S. Hayashi