クエン酸中の Zn と Fe

(1) 実験の準備

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<実験で明らかにしたいこと>

イオン化傾向を「貸そうかまああてにすずなひどすぎる白金」と覚えた人は多いでしょう。それによると
    Zn > Fe> H
です。単独であれば亜鉛も鉄も酸の中で水素を出しますが、亜鉛と鉄が同じ場所にあればどうなるでしょうか? 実は意外な結果になります。

<SACP (Sacrificial Anode Cathodic Protection) との関係>

錆び対策の技術の中に SACP というのがあります。Faraday の師の Davy が創始した方法で、鉄の錆を防ぐには鉄よりイオン化傾向の大きい金属とつなげばよいというものです。 その立場からすると「酸の中で亜鉛は鉄を守ってくれるか?」「亜鉛は鉄の代わりに犠牲 sacrifice になってくれるか?」という問いかけになります。

<実験の種類>

図の4種類の実験をやります。M=Fe, N=Zn, A=5% クエン酸です(レモンのクエン酸は6〜7%のようです)。

  1. クエン酸の中に金属を一種類だけ入れます。
  2. クエン酸の中にFeとZnを離して入れます。
  3. クエン酸の中にFeとZnを離して入れてテスター(電圧計・電流計)をつなぎます。テスターは抵抗を内蔵しています。
  4. クエン酸の中にFeとZnを入れてショートさせます。
<実験モード 1〜4>
<実験装置>

  • N は亜鉛缶。使い古したマンガン乾電池の首根っこにぐるりと穴を空けて取り出します。詳しいことはここに。
    (注) アルカリ乾電池は、外観こそ似ているが中味は全く違う。へたに空けると失明しかねない。「マンガン乾電池」の表示がない限り手を加えぬこと。
  • M は、鉄 (直径 1.2 mm)またはステンレススチール (直径 0.9 mm) の針金(図では赤いみの虫クリップに接続)。
  • 容器は 50 mL のビーカー (A のクエン酸はまだ入っていない)。
  • ビーカーと針金は木製のホルダーで固定 (自作)。
  • テスターとみの虫クリップ。
<実験装置の図>

6-23-2022, S. Hayashi